第8回『ゼビウス(1983年)』
(記憶違いや勘違い、曖昧で正確ではないところも多々あるとは思いますが、どうかご容赦くださいますよう切にお願い申し上げます。)
前々回(第6回)のタイムパイロットとは重なる開発年、稼働時期なのかも知れないのですが、今回はナムコの超名作「ゼビウス」です。と言っても地元に入っていたのはそのコピー基板「バトルス」で、ファミコンへの移植話や、離れた街のゲームコーナーで本物のゼビウスというタイトルを目にするまでは、バトルスの方が正規のオリジナル作品だとすっかり思っていたのでした。
今になって思い返すと、他にも知らず知らずのうちに遊んでいたゲームが実はコピー品だったと、幾つも思い当たる節があり過ぎて、よい事ではないのでしょうが逆にクスッと笑いが込み上げてきます。
ついでになってしまいますが、私が本物よりも先に偽物をプレイしたゲームに「ニュージグザグ」があります。駄菓子屋アップライト筐体で1プレイ20円(30円だったかも…)、オリジナルのナムコ「ディグダグ」も少し離れた別の店に置いてあったのですが、こちらはテーブル筐体で1回50円、しかも振り向き撃ちのやり過ぎでレバーがガタガタにへたばっており、意識してニュートラルに戻さないと自機が勝手に進んでしまうといった症状が現れていました。そのため、自然とコピー品のニュージグザグをプレイする機会が多くなったと記憶しています。
ゼビウス(バトルス)の情報を初めて耳にしたのは、「鉄板が浮いているゲームがある」という友達との会話からでした。見に行こうかとの話の流れになり、放課後その友達と現場に急行、プレハブのような簡易的な建物内にあった1台のテーブル筐体には、草原や森、川、海など自然物の鮮やかな色彩の中で、光を反射しているかのように映える銀色の人工物、確実に自機が上空に浮いて敵と空中戦をしている、まるで航空写真のような美しいゲーム画面が見えました。
現実というのは、ゼビウスにまつわる様々な噂話、雑誌「マイコンBASICマガジン」での攻略情報、ゼビ語ゼビ数字が印象的な設定資料、一緒に収録されていたギャプラスの曲もかっこ良いアレンジ音楽レコード「スーパーゼビウス」(ラジオ番組「ラジオはアメリカン」でも聴いたような気がします)、他にもリアルタイムでのコンテンツが盛りだくさんで、ナムコ直営店ゲームセンター「キャロット」でのグッズ販売もあったと思いました。
さらに、実在するナスカの地上絵がゲーム中の背景として登場し、敵キャラクターにピラミッドの形を模したものがあったり、また個人的には、有識者Y氏のUFOスペシャル特番も好きで観ていたのも少なからず影響してか、子供ながらに幻想的なゼビウスの物語に夢中になっていったのを覚えています。
その中でも今回は、当時私の周り(田舎)で囁かれていた噂話に絞って、ゼビウスの謎に迫りたいと思います。
※ あくまで私個人の考察、推理で、事実、検証とは異なります。ゼビウス関連の気になったキーワードで検索すると、精鋭の方々が発信する、より正確で素晴らしい深い情報を得ることができます。ほぼ真実に近いものが見えてきますので本来はそちらをご参照ください。
(1) 5本目?のスペシャルフラッグ(照準に反応しない1up隠れキャラ)
これは単に最終16エリアを突破すると、スペシャルフラッグ出現ゾーンのあるエリア7にループして再度1upチャンスが訪れること、と、鳥の形をした地上絵のくちばし部分を対地ブラスターで撃つと何かが起きる?、という噂が合わさったものと考えられます。
マップ上に隠されているスペシャルフラッグの本数は全4本です。
(2) エリア6の幻?のソル(撃つとニョキニョキと出現する筍のような地上物)
当時どこかに必ずあるのではないかと、怪しい所に照準を当てては何も無い平原や砂場にブラスターを撃ち込んでいました。実際ファミコン版では、アーケード版より1本多い1周で全46本のソルが出現します。
あまりにも発見できず、ファミコン版の追加の1本はおまけなんじゃないかと諦めるようになり、その後MSX2版やPCエンジン版と他機種版をプレイする機会も幾度とあったのですが、さほど気にすることもなくなり有耶無耶になっていきました。
ゼビウスは色々な機種に移植されています。幻のソルがあるとしてもファミコン版のように多分ずれた位置にあるか…、何となく覚えているのは、ファミコン版以外の機種ではそれらしい所を撃ったけど何も出なかった(出せなかった)と思いました。
真相の様子は、PSP版ナムコミュージアムVol.2に収録されたゼビウスから感じ取れます。ゲーム設定のオプションズの中に、バグ修正と現象再現のマニアックオプションズの項目があり、その一つに「46TH SOL」のON/OFFが存在します。
因みに、エリア6後半画面左側の縦一列に並んでいる木の内、アーケード版は上から2本目の木の左、ファミコン版は上から3本目の木の1キャラ分空けた左(だったか…間違っていたらすみません)が幻のソルの位置です。ミスをすると、次ステージへ進むか戻されるかの境界を過ぎたくらいの場所で、残機を利用しての繰り返し再調査ができずいつも根気負けしていました。
(3) バキュラ(縦回転しながら上から流れてくる鉄板)は256発撃ち込むと破壊可能?
最後に、この噂に関しては全国的に一律で地方との差異はあまり無かったように思います。
※ ここからは、私が自作ゲームを制作しながらふと思い浮かべた、ゼビウスとは全く関係の無い個人的な意見、解釈です。何卒ご了承願います。
ゲーム制作でキャラクターを作る下ごしらえの際に、どんなメンバ変数が必要でどのくらいの値の幅(データ型)を持たせるかを考えます。私の2Dアクションシューティングゲームの場合は以下のような感じです(自機周りの処理はまた別クラスに分けています)。
//ザコキャラデータ構造体
struct CharaData{
BOOL living; //出現中
int enemytype; //敵の種類
float x, y; //左上座標値
float move_x, move_y; //移動量
float jumppow, forwardpow; //上昇力、前後ダッシュ力
BOOL turn; //キャラクターの向き
BOOL jumping; //ジャンプ中
BOOL ground; //地面接地
int life; //耐久力
int timer; //経過時間(フレーム単位)
};
//ボスキャラデータ構造体
struct BossData{
BOOL living; //出現中
int *g_handle; //画像ハンドル
float x, y; //左上座標値
float move_x, move_y; //移動量
int image_w, image_h; //部品画像の大きさ
int hitarea_w, hitarea_h; //判定の大きさ(四角)
int collisiontype; //当たり判定の属性
int bullet_a, bullet_b; //砲台A、Bの撃つ弾
int life; //耐久力
int timer; //経過時間(フレーム単位)
};
ザコキャラは大きさを決め打ち(例.16×16、32×32、64×64ドット等)で作っているので、当たり判定に対しての個別の変数は持っていません。一方ボスキャラは、重力の影響は無く地形との当たり判定も無い、しかし、コアや砲台など属性の違う部品を組み立てて作っているため、判別用の変数が用意されています。
画面上に複数出現する各種ザコキャラは全て、この汎用の下地を基に生成され、敵の種類によっては使わない変数でも、同時出現個数分のメモリ領域だけは取られてしまいます。その時は一応、初期化する段階で影響の無い値(0や1など)を入れて置きます。
改めてゼビウスを見ると耐久力のあるキャラクターはいません。そもそも、lifeが0になったら破壊するという処理は無いのではないかと想像できます。
空中物の敵と自弾が当たった時の処理の分岐は、
(a) 自弾と敵キャラが消える
(b) 無敵の敵キャラを作る場合は自弾だけが消える
どちらかにすればそれで済みます。地上物については、自弾は当たっても当たらなくても一定の飛距離で消える、当たっていたら敵キャラ破壊、または出現、誘爆と何かしらの動きをするのではないかと考えられます(地上物用と空中物用のキャラクターは重なってもそのまま通過)。
仮に耐久力を256に設定できたとしても、結局はバキュラの滞空時間と自機の連射速度から破壊は不可能です。選択としては、ゲーム上で出力結果が変わらないものにわざわざ容量は割かないと推測します。
ここで別角度から、縦スクロールシューティング「スターフォース」のこれ、[⇔]地上物ジムダを見てみます。画面上に出現している全てで共通の耐久力4のカウントになっています。例えば、3発まで他のジムダに当てておいて残り1発を別のジムダに当てても、4発目ということで破壊できる(1発で壊れたように見える)現象が起きます。スターフォースの場合、このジムダというキャラクターは複数個まとまって出現するため、耐久力用変数を出現個数分用意しなくても殆ど違和感はありません。これで容量や処理コストを節約したのだとしたら見事な突破口でもう感服です。
ゼビウスの波状攻撃のように次々と投入される話題には、ファミコン版CM「オモいカルチャーをオモチャーと言う。自宅で遊べるナムコット。」での、なぜか自機ソルバルウが無敵になっている映像が放送されたり、アーケード版では難易度の上がったスーパーゼビウスが登場し、謎の機体ファントムやギャラクシアンが出現する?など、有る無い、見た見ないと際限がありませんでした。
また私自身、エリア境の森の中に突然ログラム(散発的に攻撃してくるドーム状の地上物)が出現する現象を目撃しており、謎がまだ隠されていると探求心をくすぐる相乗効果もあったように思えます。
他に書き切れない細かなエピソードについては、今後も折々触れていけたらいいなと考えております。
(お読みいただきありがとうございました。)
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